7月13日 その1195『逢坂誠二の徒然日記』

掲載日:2010.07.13

今日の朝を迎えて、試練の参議院選挙投票日からやっと一夜
が明けた感じがしています。11日投票日と昨日は、切れ目のない時間の流れの
中で過ごしていたからでしょうか。選挙期間中に日焼けした腕が、ズキズキと疼
いています。


1)原因は?
一昨夜から昨朝にかけて、マスコミ各社から今回の選挙結果を引き起こした原因
と今後について、コメントを数多く求められています。

今回の結果の底流には、やはり昨年の秋以降の政権運営に対する、有権者皆さん
の不安感、不満感があります。政治とお金の問題は火種を抱えたままですし、普
天間の問題は今後の解決に向け大きな傷を残してしまったのが現実です。もちろ
ん政権交代しなければ実現できなかった、予算の透明化や無駄への切り込み、情
報の公開、人の命や地域を重視した予算への転換など、数多くの取り組みを行っ
てきたことは事実です。しかし、悪いことも良いことも含め、(100点満点で
はないが)政権交代の実績を、政権自身が有権者の皆さんに賢く伝えられず、不
安や不満を増幅させる結果になっていることが、今回の結果の底流にあると判断
しています。

私は、鳩山政権において、各省の政務三役などが全速力で、目的に向かって動き
出したことは、評価されて良いと思っています。しかし、鳩山政権の問題が二つ
ありました。

一つは、政権運営に関する総合性が欠如していたことです。各省政務三役が、そ
れぞれの目的に沿って最大限の努力をすること、つまり「部分最適」を求めるこ
とは当然です。しかし、その部分最適の総和が、鳩山政権全体のひと固まりの政
策全体として最適であったかどうかを、冷静に判断する機能が少なかったので
す。政権交代の実績を伝える作業も同様です。個別に良いことをしていること
と、それぞれが、それを個別に伝達するだけではダメなのです。政権全体とし
て、政権の理念に沿った形で、取り組みの実績を総合的に伝える必要があったの
です。つまり鳩山政権には、「部分最適(場合によっては、部分不的確も含
め)」を「全体最適」に編み上げる取り組み、総合的な指令と調整機能の欠落が
あったことが躓きの要因の一つです。

二つ目の問題は、政権運営の体制づくりを早い時期にやらなかったことです。国
家戦略の推進体制や内閣の政務機能を強化するための仕組みづくりは、未だにで
きておりません。昨年の特別国会で、多少無理をしてでも、こうした体制づくり
をすべきだったのです。私は、昨年の特別国会で、この体制づくりを見送ったこ
とに対して、大いなる不安を抱きました。ものを進める体制を確立せずして、新
たなことを力強く進めることはできないのですが、それをやっていないことが鳩
山政権の躓きの要因のもう一つなのです。

民主党は野党時代から、組織の管理運営機能が必ずしも十分ではないと、私は感
じており、幾人かのマスコミ関係者にもこの話をしたことがあります。鳩山政権
の躓きの二つの要因は、この組織の管理運営機能と直結する問題です。この点に
関する認識の欠如が遠因となって、有権者の皆さんの鳩山政権に対する不信や不
安・不満を増幅させ、そのことが今回の選挙結果の底流にあるのです。

しかし、この不信や不安は、菅総理の誕生によって、支持率も上がり、一応払拭
されかけたように見えました。しかし、支持率の上昇は、国民の皆様が心底から
関係政権を信頼し、安心した結果ではないことは明確です。(今の頻繁に行われ
る支持率調査の結果は、良い数値であれ、悪い数値であれ、極めて刹那的なもの
なのです。)それにもかかわらず、十分な戦略手順を考えずに消費税発言を行っ
たため、払拭されかけた不信や不安・不満が、一気に復活したのです。つまり消
費税発言が、不信や不安・不満復活の格好の切っ掛けとなってしまったのです。

私は、民主党の政権交代は、三つの過程(つまり昨年の衆院選挙、今回の参院選
挙、そして来年の統一自治体選挙)を経て、初めて強固なものになると考えてい
ました。確かに昨年の夏、我々は国民の皆様から大きな力を頂きました。しか
し、その力は、我々の思う政策を実現するためには、まだ十分なものではありま
せん。もちろん、あらゆる場面で、完全に機能するほどの安定を得られる政権は
多くはありません。逆に安定には程遠い不完全な状態の政権のほうが多いほどで
す。それなら尚更、政策の執行には、大胆さの陰で、用心深すぎるほどの慎重さ
が必要なのです。今回の消費税発言は、仮に政策的に正しい大胆な発言だったっ
としても、臆病すぎるほどの用意周到な準備と慎重さが欠如していたと思いま
す。

その結果、国民の不信や不安・不満を喚起し、今回の議席数になったのだと思い
ます。したがって、今回の選挙結果は、野党を支持したものというよりは、与党
の政権運営に慎重さを欠いたオウンゴールに近いものだと感じます。



2)今後
今回の消費税発言を支持するマスコミや専門家も少なくありません。日本の財政
が先進諸国でも飛びぬけた苦境にあるわけですし、世界でも消費税率が低いので
すから、その論調は正しそうに思われます。また法人税率の引き下げを持ち出し
たことを評価する向きもあります。しかし、消費税率のアップと法人税率の引き
下げは、本当に、正しい議論だったのでしょうか?私は、正しいとも、正しくな
いとも言えないと思っています。

今の日本の課題は何でしょうか。

財政がフローの面でも、ストックの面でも大幅な赤字に陥っていること。政府と
政府以外の際(きわ)が、そのお金の流れからも、スタッフの面からも、その活
動の効果の面からも不確かなこと。政府及び、それに近い組織団体の実態が極め
て不透明なこと(予算、活動など)。デフレ状態も含め経済の成長が望める状態
にないこと。社会保障など、日本の安全網が社会の現実と乖離し、国民生活に格
差と不安が広がっていること。日本の国際的な立ち位置が、政治的にも経済的に
も低下していること(内政の不安定さが、外政に本腰を入れるほどの状態にない
ことや、そもそもの国家戦略や国のあり方に対する見識がないこと等が、その理
由)。地方分権や地域主権が総論としては叫ばれているが、中央政府と地方政府
を「依存と分配の持たれ合い構造」から、「真の自律と創造」へと本気で転換さ
せようとする意志がないこと。加えて、日本の地域はどうあるべきかの理念がな
いこと。ナショナリズム的、愛国心的議論は少なくないが、真に日本人はどうあ
るべきか、日本国はどうあるべきかの議論が少ないこと。日本の将来を担う、あ
るいは今を担う人材の教育に対する懐の深い議論がないこと…etc.

つまり日本の今の課題は、財政であり、経済であり、社会保障であり、さらには
国のあり方、地域のあり方、日本人のあり方、教育のあり方などなのです。


こうした中で、消費税率の引き上げは、財政問題解決の切り札であるかのように
言われます。確かに、先進諸外国の中では、日本の消費税率は見かけ上低いた
め、そこに余力、国民が税を賄う力があるように思われます。

今の日本では、国民はこの国で安全に安心して暮らすために、明らかに税や社会
保険料、いわるゆ国民負担率に含まれるかたちで負担しているもの以外にも、数
々な形で社会的コストを負担しています。明らかに税等で多くを負担しているも
のの例として、道路、上下水道、社会保障などがあげられます。逆に、国民負担
率には含まれないが、義務的にコストを負担している例として、電気の保安、自
動ドアやエレベーターの安全、建築の安全、食品の安全、消防関係の安全基準な
どがあり、とにかくありとあらゆる面に波及しています。私たちが日本の国で、
安全に安心して暮らすためのこれら公的コストの実態は、必ずしも明らかではあ
りませんし、それを官が行うか、民がおこなうか、あるいはその中間的な団体が
行うか等を含め、どんな仕組みで保障されているのかも不透明なのです。つま
り、「真の国民負担」と、「政府および政府的団体が果たしている役割りの実
態」が、にわかには分からないのが日本の現実なのです。つまり本当の国民負担
率の実態や、真の政府の機能がサイズが、分からないのが現実です。今日は、法
人税や所得税について言及する時間的余裕はありませんが、これらの負担の実態
についても似たような側面があります。

私が、接する皆さん方の多くは、しっかりと現状を説明すれば、最終的に日本の
財政の酷さを認識し、国民がそのことについて何らかの負担を負うことを(直接
的な負担増だけではなく、サービス減も含めて)理解して下さると思います。し
かし、ここで肝心なのは、この「しっかりと現状を説明する」ことなのです。と
ころが日本社会は、政府も政府系組織も民間的組織も含め複雑に入り組んでしま
いました。また国民の負担も、税と社会保険料、さらにそれ以外の義務的負担も
含め、これも複雑なものになってしまいました。さらにこれらの組織が、これら
国民の負担によって、どのように社会にプラス効果をもたらすための活動をして
いるかも、明確に分からなくなっているのです。つまり「しっかりと現状を説明
すること」が簡単ではないのが現実なのです。それであるにも関わらず、諸外国
に比べ見掛け上の税率の高い、低いだけで、増減税を行うことに合理性があると
説明するのは、私には極めて不誠実であり、乱暴だと感ずるのです。

少なくとも私は、この「しっかりと現状を説明すること」を目指してきました。
これは、簡単なことではありません。長年に渡り、当たり前と思われている仕組
みや負担に疑問を持って、その内容をひも解くのは容易な作業ではありません。
特に権力構造が同じであるなら、そうした説明は、自己を否定することにもつな
がりかねませんので、それは尚更困難なのです。しかし、だからこそ、我々は政
権交代を目指したのではないでしょうか。(もちろん政権交代を目指す理由はこ
れだけではありませんが。)

現在、テレビで民主党のCMが流れています。菅総理が白い布を洗濯しているシー
ンが流れ、日本を洗濯するという内容です。私は、あのCMが好きです。まさに我
々が、昨年の政権交代以降、行うべきことが端的に表現されているからです。長
い間に渡って政権を担当していた当事者は、自分を客観的に見つめることを簡単
にはできません。だから政権交代によって、これまでの仕事や今の仕組みを、客
観的に見直そうとしたのです。つまり日本の洗濯をしよう、これが私たちの大き
な仕事をなのです。日本の洗濯をした結果、どうしても国民の皆様の負担を増を
お願いしなければならないことが生ずることがあるかもしれません。(今となっ
ては、きっとその方が多いと、多くの国民も感じています。)洗濯や大掃除を
しっかり行えば、今よりももっと合理的に、その負担をどの税目で、どんな方法
で実施するのか、あるいはサービスを切り下げるのかを、私の言葉で言えば
「しっかりと説明」できるのです。

日本を洗濯することと、その結果に基づく納得できる「しっかりとした説明」が
必要なのです。だってそのことが一つの理由で政権交代をしたのですから。逆に
た、ここをすっ飛ばして、単に財政の状況がギリシア並みに悪いから消費税に言
及するのでは、議論が飛躍し過ぎですし、政権交代をしなかったのと同じなので
す。

国民の多くの皆さんは、日本の財政が悪いことを知っています。また将来、何ら
かの負担増があるかもしないことも感じつつあるかもしれません。しかし、その
前に、政権交代したその効果、結果を明確に感ずる必要があります。つまり日本
の洗濯、大掃除によって、青空にはためく目に痛いほどの、数多くの白いシャツ
を見たいし、そのことを唱えた我々には、その胸のすくような光景を国民の皆様
に見せる義務があるのです。この原点を、忘れかけたから、今回の選挙で手痛い
しっぺ返しを受けたのです。

こんな議論をすると必ずこんな忠告を受けます。「逢坂さん、日本にはそんな余
裕も時間もない。早急に歳入を確保する必要がある。そうしなければ財政が破綻
し、国民生活が混乱し、困るのは国民だ。」

一見、説得力のある発言ですが、本当にそうなのでしょうか。こうした忠告に
従って、急ごしらえの弥縫策を講じ続けた結果、抜本改革が先送りとなり、いつ
の間にか900兆円近い借金国家になったのではないでしょうか。もちろん私
は、この忠告が完全な的外れだとは思っていません。それぐらいどん詰まりに来
ているのが現実です。しかし、ここで1年程度、明確に期限を区切って、徹底的
に日本の洗濯、大掃除をすることが、できないほどの現状なのでしょうか。ここ
がギリシャと日本の違いなのではないでしょうか。また逆に、日本の大掃除の明
確な工程を明示することのほうが、弥縫策を繰り返すよりも市場や世界からも信
頼されるのではないでしょうか。

洗濯や大掃除の結果、本当に国民の負担増が必要なら、必死にしっかりと、今よ
りも合理的に説明し、その内容を選挙で国民に問えば良いのです。この手順を慎
重かつ大胆に明示することが大事なのです。しかもその選挙は、そんなに遠くは
ありません。3年以内には実施されることになるのです。(これに加えて、目指
すべき国家の姿、あり方などを、議論明示する必要がありますが、そのことはい
ずれ書きます。)

日本に、なぜ政権交代が必要だったのか、その原点を忘れてはなりません。



さあ今日も、しっかりと前進します。

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   2010・7・13 Seiji
Ohsaka

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