徒然日記

18年12月21日 その4137『逢坂誠二 の徒然日記』(5834)

妊婦加算の凍結が決まるようだ。

政治のリーダーシップで
英断を下したような印象を受けるが、
私には本質議論を欠いた
脇の甘い決断に見える。

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妊婦加算は、今年度から導入されたばかり。

導入の背景には、
母体や胎児への影響を考慮した投薬や検査など、
妊婦さんの診療は通常より丁寧な診療が必要で、
それを評価する趣旨がある。

産科以外の診療科では
妊婦さんの診察を敬遠する実態もあるという。

風邪など一般的な症状でも、
トラブルを恐れて診察や薬の処方を拒むというのだ。

だから妊婦さんの診察による収入を増やし、
産科以外の医師にも妊婦のことをよく理解して頂き、
積極的に診療に関わってもらうことも狙いだったはずだ。

私は、妊婦さんの診療を丁寧にしたい
という意図は悪くないと考えているが、
制度設計が不十分だったと感じているし、
少子化対策を抜本的に実施するならば、
他の制度と合わせて妊婦さんの
負担軽減を図るべきだった。

今回は、こうした総合的な視点が欠けていた。

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妊婦さんの支払いは、自己負担3割の場合、
初診で約230円、再診で約110円増える。

時間外診療はさらに負担が多くなるが、
この程度の上乗せだけで、多くの医師の皆さんが、
本当に狙いどおりの対応をしていただけるのかどうか
ハッキリしないしない。

診療報酬への上乗せだけではなく、
もっと他の対策も併用しつつ、
妊婦さんの診療に携わる医師の
負担軽減を考えるべきだったのではないか。

加算が増えただけで、
どんなことに配慮して診療するのか
などの議論も少なかった。

妊婦さんにしてみれば、
妊婦加算の前後で診療内容が変わらないのに、
負担だけが増える。

これでは単なる患者いじめに見え、
少子化対策に逆行するとの声が出るのは当然だ。

妊婦加算の対象は、歯科を除く外来の保険診療。

これではコンタクトレンズの処方など、
投薬がない場合でも自己負担が増える。

これも制度設計不備の一つだ。

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今の日本で、人口減少への対応は、
極めて優先順位の高い課題だ。

そのために、医師の皆さんが、
安心して妊婦さんの診療に
対応できる体制を構築することは必須だ。

妊娠・出産は、健康保険制度の中で、
出産一時金が出るが、それでも負担は大きい。

たとえば奥尻島の妊婦さんは、
出産予定日が近くなると、
事前に函館などの下宿やホテルに滞在して
その日を待つ方もいるという。

真に少子化対策を考えるなら、
こうした点にも配慮すべきなのだ。

それにも関わらず、
今回の妊婦加算は妊婦税であり
少子化対策に逆行するなどの
批判だけを気にしている。

批判は真摯に受け止めねばならないが、
今回は真にすべきことを忘れ、
テレビカメラを意識し
大衆受けを狙った底の浅い議論に思う。

加算凍結の議論に加えて、
人口減少にどう対応するのか。

今からでも遅くないから
診療報酬だけではない多角的な検討が必要だ。

さあ今日もブレずに曲げずに、
確実に前進します。
==2018.12.21==

  
  

皆様のコメントを受け付けております。

  1. 私がお腹が大きい時、歯科に行ったら「予定日はいつですか?」と聞かれ、歯科助手の方が手を握り診察台に上がるのをsupportして下さいました。気遣いが嬉しかったです。

  2. 妊婦加算凍結と聞いたときは、よかったと思ったのですが、マスコミが小泉進次郎さんの功績として一斉に取り上げたことには違和感がありました。
    小泉さんのブログにそのことについての記述もありますが、妊婦の負担がなくなったことについては書かれているものの、医師が妊婦の診察を避けるという、そもそもの問題についての言及はありません。妊婦が診察してもらえない、そのこと自体の解決策が示されていないことは、逢坂さんが書かれている通り『テレビカメラを意識し大衆受けを狙った底の浅い議論』だと思いました。

    マスコミと小泉jrの関わりかたは、ポピュリスト政治家の製造過程を見ているようです。

    (マスコミが騒がしいですが…国会には逢坂さんの力が必要です)

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