徒然日記

23年3月5日 その5671『逢坂誠二の徒然日記』(7368)

夜明け前の都内、空全体に雲が広がっています。気温は6度、日中は13度の見込みです。終日、雲の多い1日です。昨日は、笹田浩道議の道政報告会、板倉市議の事務所開きに出席した後、山形行きに備えて上京。今日、午前の便で山形入りします。

1)原子力規制委員会の田中俊一元委員長のインタビュー
北海道新聞3月3日の電子版に原子力規制委員会の田中俊一元委員長のインタビューが掲載されました。重要な発言もあり、抜粋して引用します。
==以下、抜粋引用==
 ――閣議決定に先立ち規制委は運転期間延長を認める制度を1人の委員が反対する中、多数決で決めました。賛成した委員からも「せかされて議論してきた」といった発言が出て、独立性が揺らいでいます。
 「運転期間の延長は規制の本質に関わることなので多数決で決めるべきではありません。徹底的に議論すべきでした。規制委が政治や行政に牛耳られている印象を国民に与えてしまう。規制委の信頼の根幹は独立性です。骨抜きにすれば原子力に対する国民の信頼は地に落ちる。それでは原子力に将来はないでしょう」
 ――政府は、グリーントランスフォーメーション(GX)戦略で、原発の最大限活用をうたっています。
 「GXは全体的な視点と長期的な展望が全くありません。原発を二つ三つ余分に動かしたところでエネルギーの安定供給や温室効果ガスの削減にはほとんど意味がない。温暖化問題にしても、世界の二酸化炭素排出量に占める日本の割合は3%です。日本だけが減らしても地球全体では3%分しか減らない。全体を俯瞰し、長期的な展望を示したうえで国民に問いかける必要があります。政府にとって都合の良い有識者の意見だけを聞いて推進の旗を振っているだけでは誰もついてきません。革新炉やリプレース(原発の建て替え)も電力会社に全くその気はありません。原子力の将来像について定量的で科学的なデータを出して議論し、社会の合意を得る必要があります」
 ――議論を深めると、原発は続けるべきだという結論になると思いますか。それともやめるべきだ、と。
 「今の日本の状況を見れば、原発抜きではやっていけないという結論になると私は思っています。例えばロシアのウクライナ侵攻を私はけしからんと思いますが、それでも日本はロシアから天然ガスを買う。国民に説明して、ロシアからガスを買うのをやめるからこうしたいと言うのが、政治やメディアの役割です」
 ――原発をやめて、代わりに風力や太陽光など再生可能エネルギーにもっと注力してはどうでしょうか。
 「再エネはまだ成熟した技術ではありません。大規模に導入するために必要な蓄電池はリチウムなど希少な資源が必要です。すると電力料金が跳ね上がってしまう。この場合も全体を考えないといけません」
 ――規制委時代の会見で、新しい規制基準について、田中さんが「それで絶対安全とは申し上げない」と言ったのが印象に残っています。
 「絶対安全だなんて技術は世界中どこを探しても一つもないからです。当たり前のことを言っただけです。もちろん、致命的な事故が起きないように最善は尽くしました」
 ――福島第1原発の原子炉内で溶け落ちた核燃料(デブリ)は取り出せそうですか。
 「ほとんど出せないと考えたほうがいいでしょう。ただ福島の廃炉については1、2号機建屋のプールに今も残る燃料の取り出しなど、もっと大事で急を要する作業があります。デブリは今すぐ外部に悪影響を及ぼすものではありません。デブリの取り出しが始まれば、いかにも廃炉作業をやっているように見えるでしょうが、まだまだ先の先の話で、全く見通しが立ちません」
 ――デブリを含め、どういう状態になれば廃炉が完了したと言えるのか、国も東電も明確にしていません。
 「少なくとも、あの場所は一般的な、他の用途に利用できる土地にはならないと思います。少しずつがれきや廃棄物を片付けて、でも最終的に取り出せないデブリが残るでしょう。最後は(原子炉建屋をコンクリートで覆う)石棺にせざるを得ないかもしれません」
 ――政府は今夏にも、福島第1原発にたまる放射性物質トリチウムを含む処理水を海に流す方針です。
 「委員長になって2年目の日記を見ると、官邸に出向いて、漁業関係者もある程度やむを得ないと思っているので補償を含めて政治的な対応をしてください、と伝えています。でも実現しなかった。今になって500億円の基金をつくったがなかなか納得が得られない。最初に解決していたら、今ごろ誰も話題にしていないはずです。凍土壁も造らなくてよかったしタンクを千基も造らなくて済んだ。汚染水をためこんで、結局使うお金を膨らませてしまった。政治家は選挙で票を減らすようなことは言わない。役人も2、3年で担当が変わるのでその間無難にやり過ごせばいいと考える。そうして問題がずるずると先送りされるのです」
 ――田中さんの委員長時代に福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅの廃炉が決まりました。もんじゅは成果を上げなくても研究さえしていれば巨額のお金が流れ込みました。
 「政府も国民も科学的な合理性を考えないからです。昔から『技術は千三つ』と言います。千個のアイデアがあっても実際に使えるのは三つだという意味です。もんじゅに1兆円もかけてしまった。カネと時間をかけても実用化できない技術の典型です。実現できない技術にすがって人材育成も怠り続けた結果、日本は科学技術立国ではなく『科学技術劣国』になってしまいました」
 ――もんじゅは青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理工場とともに国策の核燃料サイクルの両輪でした。
 「もんじゅをやめれば、その燃料となるプルトニウムを取り出す再処理もやめるのが当然です。しかし、この国は建前上、核燃サイクルをやめるとは言わない。高速増殖炉の代わりに軽水炉(泊原発など通常の原発)でプルトニウムを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を使うと取り繕っています。でも、使い終えたMOX燃料は再処理ができず、やがてサイクルは必ず行き詰まります。核燃サイクルは実現性も持続可能性もない虚構です。まじめに考えると矛盾だらけでどうしようもないから、考えないで、ごまかして、国民やマスコミをだましている。そもそも使用済み燃料を再処理するのは核兵器保有国以外では日本だけです。再処理せずに直接処分するべきです」
 ――後志管内の寿都町と神恵内村で再処理の後に発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分地選定に向けた文献調査が行われています。処分場は必要なのでしょうか。
 「直接処分するにしても、いずれは必要になります。ただ、引き受けてもらうには(処分場の建設で先行する)北欧のように、原子力が必要だという国民の合意や共通認識がないと、ごみだけを受け入れるのは嫌だと思うのは当然です。処分地の決定まで100年ぐらいかける覚悟で国民的な議論をするべきです」
==以上、抜粋引用終了==
「運転期間の延長は多数決で決めるべきではありません」、「原発を二つ三つ余分に動かしたところでエネルギーの安定供給や温室効果ガスの削減にはほとんど意味がない」、「(デブリは)ほとんど取り出せないと考えたほうがよい」、「日本は科学技術劣国」、「核燃料サイクルは虚構」など、正鵠を射ています。田中さんが委員長でいて欲しかったと切に思います。今の委員長や規制庁、エネ庁の暴走になんとかブレーキをかけねばなりません。

2)原発束ね5法案と空空しい反省
原子力規制委員会の原発利用延長判断を急かし、多数決の要因となった原発束ね5法案が閣議決定されました。今、その内容を勉強しています。原子力基本法の大幅な変更、原発60年超 運転の実現、延長認可は原発推進側の経産大臣が行うことなど、完全な原発推進法案です。勉強すればするほど、胸が悪くなります。
改正原子力基本法案の中には、「原子力利用は、安全神話に陥り、福島第1原発事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、これを行うものとする」と一応反省が書き込まれておりますが、この反省が、わざとらしく空空しいものに感じられます。

さあ今日も ブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2023.3.5===
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. こんにちは。

    原発稼働期間60年への延長の事ですが、あれは、電力会社の経理上の問題、
    BSの均衡を保たせる(より長く資産計上する)いう狙いが隠されている
    という事はないですか?

    つまり、推進側は、安全うんうんというより、経営問題として捉えている
    のではないかと考えるのですが、どうなのでしょう?

    そうなると、益々、とんでもない話という事になりそうです。

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