徒然日記

ラピダスへの懸念/逢坂誠二 #7666

【23年12月28日 その5969『逢坂誠二の徒然日記』 #7666】 夜明け前の函館、雲が広がっていますが、雪は降っていません。風も弱めの穏やかな朝です。気温は氷点下2度。日中も曇り、3度まで上がる見込みです。
1)ラピダス 今年2月28日、次世代半導体の国産化を目指すラピダスが、千歳市の工業団地に工場を建設すると発表して以降、道内経済の多くの部分がラピダスに席巻された感じがします。
私自身は、ラピダスがどのような経過で設立され北海道進出が決まったのか、正直なところよく分かっていません。事前に事業可能性調査を行なったのか、他地域と比較考量したのか、こうしたことも全く分かりません。大事業であり、北海道経済に大きな影響を与えることは事実です。そこで初歩的なことも含め、ラピダスのことを勉強したいと思います。
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報道など表に出ている資料から分かることは以下です。
2019年半ば: IBMから日本側に2nmの技術を提供したいと打診あり。
しかし日本の民間企業では対応が難しいと判断し、新会社と半導体研究機関LSTCの設立となった。(このあたりの詳細経過はさらに情報収集中。)   2022年8月:ラピダス設立(IBMからの打診があって3年後です。) 2022年12月:技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)設立
資本金: 73億4600万円(2022年11月現在)
資本提供: キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTが各10億円。三菱UFJが3億円。計73億円出資
関係企業 IBMと共同開発パートナーシップ契約(2022年12月) ベルギーの半導体研究開発機関IMECと協力覚書(MOC)締結 カナダのAI向け半導体スタートアップTenstorrentと協業発表(2023年11月)
現在の事業計画: 2025年に試作ライン立ち上げ、2020年代後半(2027年?)に2nm量産ライン立ち上げ
国の支援など: ラピダス社は、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業において次世代半導体の開発研究プロジェクトに採択された。
*2022年の支援上限700億円 *2023年度の支援上限2600億円 *2023年度補正で5900億円の支援を想定
(現時点で1兆円近い政府資金が提供される見込みです。)
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以上が報道や公開されている資料から知りうる情報の概要です。
半導体は私たちが使うさまざまなものに組み込まれ、生活を支えるために不可欠な存在であると同時に、「産業のコメ」とも呼ばれ産業を支える重要なパーツです。半導体の安定供給が極めて大切なことなのです。
1988年、世界全体の半導体の売上トップ10社のうち5社が日本でしたが、現在、日本の世界シェアは10%を切り、完全に凋落したと指摘されています。しかし半導体の製造装置や、シリコンウエハなどの分野では、日本は依然として競争力を有しています。だから多くの方が、日本の半導体産業を立て直すことは可能だと見ていますし、私も何とかそうしたいと考えています。
一方、今、手にできる情報を見る限り、ラピダスの立ち上げと北海道進出は、官が主導した相当な急ごしらえで、懸念も多くあります。
*IBMはなぜ日本に打診したのか *IBMは2nmの大量生産技術を持っていないが、IBMとの契約内容はどのようなものか *ラピダスの技術開発のため技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)が2nmの大量生産技術が開発できるのか *北海道に人材が集まるのか *大量生産に必要な水や電気は供給可能か *収益が見込めるまでの資金(5兆円?)はどの程度で、それが調達できるのか
ラピダスの取り組みは、何とか成功してもらいたいと思う反面、私には相当なリスクがあると感じられます。
もっともよく分からないのはIBMの立ち位置です。
IBMから技術の提供はあるのでしょうが、収益化にはさらに相当な投資が必要です。その投資は日本側が行います。収益化した場合の利益はIBMにも流れます。しかし失敗した場合のリスク分散がどうなっているのか見えません。
もう少し勉強し、整理してみます。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。 ===2023.12.28===
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皆様のコメントを受け付けております。

  1. こんにちは。

    ラピダスへの懸念、もっともだと思います。
    小職が特に気になっていることは、北大が全学挙げて、
    ラピダスに入れ込む姿勢を見せていることです。
    北大が指定国立大学の申請を出来ない原因が「社会との連携」
    項目で、全国13位と、10位以内という指定基準に合致して
    いないからだと聞きます。その焦りでしょうか、企業との
    結びつきを進める一環として飛びついた様な気がします。
    企業との連携、大いに結構ですが、結果的にババを引かない様、
    細心の注意をしながら、取り組むならならば及び腰にならず、
    しかし、疵が大きくならないうちにサッと引き上げることの
    できる態勢で臨むべきであろうと思います。

    泥沼に引き込まれると、今や青息吐息の北大は完全に潰れて
    しまいます。都合が悪くなれば、政府は助け舟を出すこと無く、
    知らぬ顔をすること、今から眼に見えています。

    寶金総長、名和前総長は小職の北大入学同期です。彼らの
    活動には大いに関心を持ってみています。願わくば、50年前、
    北大が大阪大学、東北大学を凌いで、全国から有意の高校生が
    集まった姿をもう一度見てみたいと願っています。
    その意味からも、ラピダスの事に関しては目が離せません。

    下記のような懸念が杞憂に終わるか、事実となるか、
    寶金総長は、「光は北から」とHPに謳っていますが、
    「闇は北から」とならない様、頑張ってもらいたい。

    『ラピダスが直面する20年の反省と3つの技術課題』
    https://toyokeizai.net/articles/-/715208

    うらべ
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