徒然日記
5月19日 その2095『逢坂誠二の徒然日記』
昨日午後の釧路(阿寒)での講演を終え
て、
女満別空港から昨夜遅く都内入りした。
女満別空港を離陸するときの気温は、
5度程度だったが、
今朝の東京は、夜明け前でもう既に18度になっている。
日中も22度まで気温が上がり、終日晴れの予報だ。
1)心休まる
一昨日は、札幌からJRで稚内入りした。
昨日は、釧路空港から阿寒まで、
さらに阿寒から女満別空港まで、
そのそれぞれを自治労の「O」さんの運転する
車で移動した。
どちらの移動も、
いつも見慣れたはずの北海道の風景だが、
改めて道北、道東の早春の風景を堪能した。
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豊富付近から北に向かっての風景は独特だった。
雪どけが進み乾きつつある大地は、
まだ草の芽も幼く、
土地のうねりが剥き出しだ。
必要以上に切り土、盛り土をしていない圃場は、
土地本来の緩やかで柔らかな曲面がハッキリし、
その優美さが目に心地が良い。
波打った窪みには水芭蕉が咲き、
陽あたりの良い土手には
蝦夷エンゴサクが群生している。
道の脇には、融けきらない雪が残り、
本格的な農作業の開始まで、
あと少しの猶予が必要だ。
そんな農地を眺めていると、
突如左手に、
海から天に突き刺さった白い塊が飛び込んできた。
利尻富士だ。
ベールのように海を覆う雲から突き出た頂上は、
真っ白な雪に覆われている。
列車進行方向左手の山は、まだまだ冬の様相だ。
釧路空港から阿寒までの道のりは、
天北よりも、さらに時計の進みは遅い。
そこかしこに雪が残っている。
道路脇の林の窪地を良く眺めてみると、
沢伝いに流れてきた雪融け水が溜まり始めている。
だが木々の枝はまだ固く、
本当に芽吹くのだろうかと心配だ。
阿寒湖に向かって高度が上がるにつれ、
気温が確実に低くなる。
だが沢水の流れには勢いがあり、
確かに確実に春の足音が聞こえている。
阿寒から女満別へ向かう道のりは、
きつい下りが続き、標高が一気に下がる。
にわかに、春の農作業の風景が眼前に広がる。
龍安寺の石庭に
砂熊手やレーキで細い筋をつけるかのように、
トラクターが農地を縞模様に変えている。
ビート苗の定植が完了した畑も多く、
女満別に向かっては、春耕期、真っ盛りだった。
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同じ北海道内であっても、
道北と道東の春は違った雰囲気がある。
同じ近い地域でも
阿寒湖の北は農作業が進み、
南はやっと冬眠から覚めた状態だ。
飛行機で素早く移動することに合理性はある。
車や列車は、飛行機に比べれば当然、ゆっくりだ。
だがそのゆっくりの中に、
飛行機とは違った安らぎが待っている。
2)HAC
株式会社北海道エアシステム
(Hokkaido Air System Co., Ltd.)は、
北海道を筆頭株主とした航空会社だ。
北海道内の拠点空港間を、
サーブ340B-WTという
36人の乗りのプロペラ機3機体制で運航している。
路線は次の通りだ。
・
丘珠 – 利尻、釧路、函館
・
函館 – 奥尻
・
丘珠 – 三沢(7月1日就航予定)
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HACは、小さな会社ではあるが、
北海道内都市間の人の移動に大きな役割を果たす、
北海道にとって重要な会社であり、
私も、良く利用している。
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HACの経営は確かに苦しいし、
現在も経営再建中だ。
しかし様々な頑張りによって、
5月1日には、金融機関から受けている
借入金計1億1千万円を
全額返済したとも報じられている。
4月の旅客収入は
事業計画比0.7%増の1億4200万円となり、
再建計画を修正した昨年7月以降、
9カ月ぶりに計画値を上回った。
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幾多の厳しさはあるが、
HACの路線は北海道にとって、
極めて必要性の高いものだ。
私も、様々なかたちでHACを応援する考えだ。
3)孫さん
ソフトバンク孫正義社長が、
北海道電力の大規模太陽光発電所の
電力受け入れ量を制限に対して、
「太陽光エネルギーをつくっても意味がない」
と批判したと報じられている。
こうした批判は、私のもとにも多い。
北電は4月に、
出力2千キロワット以上の設備では
計四十数万キロワット程度しか
買電契約ができないと公表した。
道内では3月時点で、87件、
計156万8千キロワットの電力買取の申し込みがあり、
北電の今回の公表により、
申し込みの3割程度しか契約できない計算となる。
電力の安定供給を確保するために、
こうした措置を取っているらしいが、
これでは再生可能エネルギーの普及は進まない。
「固定価格買い取り制度」を導入した意味が薄れてしまう。
何とか買電契約を増やすことができないのか、
何がネックになっているのか、
それを乗り越えるために何が必要なのか。
買電契約ができない理由を探すのではなく、
なんとかして再生可能エネルギーを増やす方向で、
電力会社や国には、再検討するようお願いしたいと思う。
4)間違ってはいけない
人の心をえぐり、世界を震撼させるような暴言を吐くと、
当然、マスコミや世間からは激しい批判が起こる。
厚顔無恥にもそれに反論すると、
その反論がある程度強い場合、
マスコミもその反論が正しくないとは分かっていても、
結構、その様子を伝えたりする。
暴言の主が、狡猾巧みに論点をすり替えて
暴言の正当性を激しく主張し、
マスコミも、本当は納得してはいないのだが、
視聴者もマスコミも根負けしたように見えることもある。
こんな場面を見ている国民は、
次の言葉だけは絶対に避けるべきだ。
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・
暴言は、酷いけど、あいつも大したもんだ。
よくあそこまで言えるよな。
・
あいつの言っていることは酷いけど、
実はあれが本音だよな。
あんなことが言えるとは凄い。
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よもや仮にも間違っても、こんな評価をしてはならない。
こんな評価の積み重ねが、国民に謝った認識を与え、
その後の政治を踏み外し、
誤った歴史を生み出したケースは枚挙に暇が無い。
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政治家が、国民を鼓舞することは大切だ。
しかし、
深く考えずに多くに皆さんが納得しやすい安直な価値を持ち出して、
国民を煽り唆し扇動することは、絶対に行ってはならない。
政治家が心がけるべきは、
国民を鼓舞しつつも、
沈思黙考や深謀遠慮といった雰囲気だ。
つまり何とかしたいという
熱気溢れる国民の意気込みを引きだすと同時に、
それと正反対の落ち着いた冷静な世論の形成だ。
これが私のいつも指摘するところの、
国民の進化を考える政治家のあり方の一つだ。
単なる煽り唆しや、
その場を取り繕う詭弁は、要注意なのだ。
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暴言に端を発する煽り唆しの裏に潜む欺瞞を見抜くことは容易だ。
一見、正しそうで多くの人が賛同する政策による欺瞞を、
見抜くのはなかなか難しい。
特に元気の良い経済政策には、
見落しがちな多くの課題が含まれている。
暴言であれ、正当性のありそうな経済政策であれ、
煽り唆しの嘘を見抜く力を養わねばならないない。
真の政治家の政治家たる所以は、
こうした煽り唆しの熱気とは無縁の覚悟を国民の皆様と共有し、
困難な道であっても国家の将来を信じて進む、
国民の強い意志を醸成することだ。
今日は締め切りの迫った原稿に着手したいと思っているが、
完成にはもう少し時間を要する雰囲気だ。
私自身の進化は、すこし足踏み状態かもしれない。
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2013・5・18 Seiji Ohsaka
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