徒然日記

3月7日 その1684『逢坂誠二の徒然日記』



冬の寒さから、その緩みを感ずる朝です。

朝の最低気温が10程度です。

天候は曇り、日中の予想最高気温は
13度程度とのことです。

1)勉強会
昨朝の勉強会で、
慶応大学の金子勝先生から話を聞いた。

テーマは「エネルギー転換と産業革命」と題し、
主に電子力発電所や東電の話を聞いた。

金子先生のレジュメから、
以下に幾つかを抜き書きする。

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燃料費上昇=赤字原因論には落とし穴が潜んでいる

家庭向けに関しては、燃料上昇の半分は吸収されている

問題の本質は、
安全性が担保できない原発は不良債権(不良資産)だという点にある

原発が動かないで電力が足りると、
電力会社は困ることになる

原発が全て不良債権ということになってしまうからだ

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東電、状況は厳しい。

2011年3月末の赤字:5,899億円

東電の自己資本:連結で9,215億円
電気料金の値上げ17%収入:4千億円
公的資金投入:1兆円

賠償費用:5〜6兆円
廃炉コスト:1兆2千億円

もはや国有化は避けられない

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六ヶ所の再処理施設建設費は2兆2千億円
(当初は7,600億円)

日本原燃は約1兆円の銀行借入
(電力会社の債務保証)

電力会社は、
再処理費用を電力料金に上乗せして引き当てを積む

この引当金から前受け金として
日本原燃に1兆円貸付(10年返済)

2011年3月期:日本原燃4千億円増資
(電力会社がそれを引き受け)

電力会社は、
機械は動いていないにもかかわらず、
減価償却をしている

六ヶ所の再処理施設が動かなければ、
12兆円もの電力料金がドブに捨てられてしまう

六ヶ所の再処理施設は、
潰すに潰せない巨大な不良債権

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東電をめぐる三竦みの利害関係

第一:
東電経営陣は経営責任を免れたいので、
国有化されても経営権を渡したくない

第二:
財務省は、国が経営権を握ると
巨額の賠償責任を負うことになるので、
経営権を握ろうとしない。
ズルズルと電力料金引き上げや
原発再稼働によって利益をあげて、
そこから事故処理費用や
賠償費用を支払う方式をとろうとしてきた。
(金融機関は東電に巨額の融資を行っており、
 貸し手責任を問われ債権放棄を要求されるのを避けたい)
90年代において、銀行と財務省がもたれあって
不良債権処理に失敗したのとそっくりな構図

第三:
経産省は、東電と共倒れするより、
経営権を握ることによって
東電をある程度叩いて改革しなければ立ち直れない

最後は、原子力政策を進めてきた責任として、
国が除染も含めて
最終責任を負うことを明確にしなければならない

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東電改革問題は、
次の三つを同時に満たさなければならない

第一:
経営責任と貸し手責任を問うこと

第二:
原発事故被災者を救済する賠償費用や
除染費用を最大限捻出すること

第三:
東電処理を将来の前向きな電力改革と結びつけていくこと

東電および財務省におるズルズル国有化路線は、
3つの条件のいずれも満たさない

ツケの先送りは、
90年代の不良債権処理の二の舞になり、
「失われた30年」をもたらすだけ

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東電を破綻整理は、
責任問題という観点からはは最もすっきりしている

しかし、4兆4千億円に及ぶ電力債は
電気事業法37条で優先弁済が決まっている

参考:

(一般担保)

第三十七条

一般電気事業者たる会社の社債権者(社債、株式等の振替に関する法律 (平成
十三年法律第七十五号)第六十六条第一号 に規定する短期社債の社債権者を除
く。)は、その会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受
ける権利を有する。


前項の先取特権の順位は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による
一般の先取特権に次ぐものとする。

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経営責任と貸し手責任を問うとともに、
発送電分離を行い、資産売却と
原子力予算の組み替えという方式が、
今のところ最も望ましい。

即時脱原発と漸進的脱原発かの選択肢

即時原発廃止の場合:
原発という不良債権処理に対する国民負担
銀行の貸し手責任を問いつつ、
税金によって東電の事故処理費用、賠償費用、除
染費用を負担することが求められる

漸進的脱原発の場合:
国民負担は急激に生じないが、
安全性を確保する問題が発生する

その場合に、少なくとも以下のルールが確保されねばならない

第一:
新規建設は事実上やめる一方で、
マーク?型原発、老朽原発、
地震の危険性の高いものなど危険な原発を廃炉にする

第二:
事故調査委員会の調査結果を踏まえて、
新しい安全基準を設け、必要な安全投資を行わせる

第三:
原子力ムラ主体の安全行政を改革

第四:
審査内容を公開し、
30キロ圏の周辺自治体とは
立ち入り検査権を含む原子力協定を結び、
公開で話し合いを持つ

7割前後の国民が原発を廃止し
再生可能エネルギーへの転換を支持している

真の選択肢は、
即時脱原発か漸進的原発の選択である

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以上、金子先生のレジュメからの抜き書きだ。

我々に今求められているのは、
原子力をはじめとする電力政策に対して
現状を十分に把握したうえで、
国民の意思に沿う、将来の見通しを明確にすることだ。

2)公務員への批判
さまざまな要因が相まって、
現在、公務員の立場や処遇に対する批判が多い。
(我々議員に対しても、同様の批判がある。)

たとえば給与を下げろとか、
人員を減らせとの批判だ。

先日、函館市で開催したオープン・ミーティングでも、
同様の意見が数人から出された。

その際に、もっと公務員の実態や現状を、
客観的に見た上で判断すべきとの声もあった。

それは当然の声だと思う。

社会全体として、
公務員の定数と人件費の削減を実現すれば、
何となく多くの問題が
解決するかのような雰囲気に満ちている。

確かに公務部門の持つ非効率さなど課題は少なくない。

そうではあるが、
公務員批判の声に大衆迎合的に応ずることで、
我が国の各種の問題が本当に解決するのだろうか。

私はそうは思わない。

諸外国との比較で日本の公務員数はどうなっているのかなど、
今の日本の公務員をとりまく基本的なことを理解したうえで、
議論しなければ将来を誤り兼ねない。

次回のオープン・ミーティングでは、
こうした公務員の基礎数値なども明らかにしたうえで、
議論したいと考えている。

3)総務委員会
昨日は、7時間に渡って衆院予算委員会で質疑が行われた。

震災関連の特別交付税を早く交付せよとの指摘があったが、
この指摘は、一般論として頷けるものだが、
現実的には、もう少しの丁寧さが必要だ。

特別交付税は、特別な財政需要を算定根拠にしている。

特別交付税の交付にあたっては、
この特別な財政需要をいかに把握するかが鍵になる。

交付を急ぐあまり、
特別な財政需要を早く把握し過ぎると、
十分な需要把握ができないおそれがある。

逆に年度ギリギリまで特別な財政事情を把握しようとすれば、
交付が遅くなるおそれがある。

この矛盾することをどう両立させるかが問題なのだ。

単に交付を急げとの掛け声だけでは、
適切な特別交付税の交付にはならない。

4)予算決算透明化WT
昨日、予算決算透明化WT役員会が開催された。

予算決算の透明化に関しては、
多くの方々が、当然のことだと理解しているはずだ。

しかし、現実には様々な隘路があって実現しない。

昨日の役員会では、
色々な障害はあるものの、
何とかして、予算決算の透明化を図るための方策の実施を
政府に迫ることで一致している。

5)歳入庁WT
歳入庁を検討するための党内の議論がスタートしている。

政府の取り組みも始まっているが課題も多い。

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国税と社会保険「料」との関係をどうするか


地方税、地方に係る社会保障関連料との関係をどうするか


給付の全部、または一部を担うのか


給付は国分のみか、地方分も含めるのか


マイナンバーとの関連はどうするか


定員管理上、どう位置付けるか


政府の進め方との平仄をどうとるか


地方と国の協力、事務の整理をどうつけるか


国民に口座所有を義務付けるのか

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個人的には、
以上のようなことをはじめ、
多様な論点があると考えている。

6)政調役員会
昨夕、定例の政調役員会が開かれた。

昨日も8つの法案や条約などについて議論している。

週二回定例役員会を開いているが、
それでも数多くの案件が浮上してくる。

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冒頭に政調会長から、
議員歳費年間3百万円削減の方向で
調整が進むことが報告された。

新年度予算に関連し、
特例公債法案が、
予算本体をはじめその他の予算関連法案と
切り離して採決される可能性について言及があった。

この話を聞き、
出席の議員からは、
ため息にも似た落胆の雰囲気が感じられた。

昨年も特例公債法は、予算から5ヶ月遅れで成立しているが、
こんな状態では、予算の衆院の優越は有名無実だ。

この点、野党の皆さんにも何とかご理解頂きたい。

国民生活を盾にした、
対立だけの国会審議から卒業しなければならない。

7)大都市制度WT
昨日は、9回目となる大都市制度WTを開催し、
篠田新潟市長から新潟州構想について、
倉田前池田市長から大阪都構想について、
それぞれ話を伺っている。

また私から、
今後の進め方について説明を行っている。

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篠田市長からは、
広域自治体と指定市・関係者が力を寄せ合う必要が指摘され、
特別自治市でもない、都構想でもない、
地域の実態に合った大都市制度の構築が説明された。

その上で、新潟モデルの実現に向けて、
国会としての対応について、
期待が寄せられた。

検討のスケジュールについては、

23年6月:構想検討委員会
24年4月:拠点化推進本部
24年夏:中間とりまとめ
24年10月:新潟知事選挙で論点化か?

等の説明があった。

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前池田市長の倉田薫氏からは、
大阪都構想について、以下のような説明があった。

橋下徹氏の進化は凄いが、
あまりにもスピード感があり過ぎ、
どこか違っていないかとの思いがある。

大阪都構想については賛同する部分が多い。

地域のことは地域が決める仕組みが必要だ。

知事は大阪都の絵図面を具体的に示して、
住民投票を行って決めるべきだ。

できるだけ早いタイミングで、
地域が決められる仕組みを、
国の政治主導で用意すべき。

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昨日のWTの最後に座長として私から、
地域からの様々な自治のあり方に対する提案を受け止め、
実現の手立てに導くための手続き法の整備を行うことを提案し、
WTとして確認された。

今後、法案化の作業を急ピッチで行うこととする。

昨日も密度の濃い一日だったが、
今日も同様な、
いやそれ以上の密度が予定されている。

適度な運動に心掛けたいが、
少しの間、おあずけ状態が続く見込みで、
心身ともに若干のフラストレーションだ。

しかしあらゆる困難を排して、
種々の課題に取り組まねばならない。

さあ今日もしっかりと前進します。
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   2012・3・7 Seiji Ohsaka

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