徒然日記

21年3月8日 その4945『逢坂誠二の徒然日記』(6642)

3月も第2週に入りました。

今日は国際女性デーです。

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10年前の東日本大震災当時、
以後の日本のエネルギー政策が大きく変わる
と感じた方も多いと思います。

しかし残念ながらそうなった実感はありません。

鍵は再生可能エネルギーですが、
日本の再エネ比率は決して高いものではありません。

2019年の各国の状況は以下です。

デンマーク:83.9%
オーストラリア:78.1%
スウェーデン:61.0%
ポルトガル:53.7%
イタリア:42.2%
ドイツ:40.2%
スペイン:37.1%
中国: 27.4%
フランス:20.5%
日本:18.5%

2010年の日本の再エネ比率は4.3%でしたので、
確かに増加したことは事実です。

しかし各国の普及状況から見ると見劣りするのが現実です。

20年ほど前だったと思います。

ドイツで行われた再エネの国際会議に出席した折、
各国の代表が口々に再エネに力を入れる発言をしていました。

残念ながら日本からは政府代表の出席はありませんでした。

日本の長期的な戦略の欠如が今の結果とも言えます。

さらに問題は原発です。

東日本大震災以降、
原発に関し最も顕著なのがドイツの取り組みです。

当時ドイツには17基の原発がありました。

メルケル首相は大震災の4日後に原発7基を停止させます。

その4カ月後の2011年7月8日に、
全ての原発を2022年中に廃止する法律を成立させます。

驚きの素早い決断です。

ドイツでは、東日本大震災後、
すべての原子炉のストレステストを実施しました。

その結果、原子炉安全委員会では、
原発を廃止すべきとの結論にはなっていません。

一方、メルケル首相が設置した、
エネルギー供給に関する倫理委員会が、
以下のような結論を出したのです。

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原子炉事故の影響は地域的、時間的、
社会的に限定できないので、
リスクを正しく予想することが極めて困難。
したがって、原子炉を出来るだけ早く廃止して、
よりリスクの少ないエネルギー源によって代替するべきだ。
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メルケル首相はこれを受け入れました。

この倫理委員会のことは以前も紹介しましたが、
科学技術や安全性だけではない観点から
原発を使わない結論を導いたのです。

結論の素早さに驚いたのは事実ですが、
2022年は随分と先との印象もありました。

しかしあれから10年が経過し、
2022 年は来年のこととなりました。

ドイツの原発ゼロは目前に迫っています。

東日本大震災後、私は3度、ドイツを訪問しました。

いずれも原発関連の勉強です。

私が会ったドイツの多くの皆さんは、
原発事故の当事者である日本こそが
率先して脱原発に進むはずと見ていました。

ところが今、日本は、
核燃料サイクルの推進と
原発再稼働に執着しています。

まさにドイツとの彼我の差を痛感します。

使用済み核燃料の処理ができない、
万が一の事故の際に機能する避難計画を策定できない、
これが日本の現実です。

それでも原発に固執しています。

この10年間、日本は一体何をしてきたのか、
そう言わざるを得ません。

考えてみれば、あれほどの大事故を起こしたのに、
国会にあの事故のことを専門に話し合う場が、
結局は設置されませんでした。

そして原発事故の本当に原因は、
未だに明確ではありません。

なぜもこんなに日本の探求力や
意思決定力は脆弱なのでしょうか。

東日本大震災後、首相官邸前で毎週金曜夜に
脱原発を訴えてきた集会が3月末で休止するとのことです。

参加者が減少し、資金難になったことが主な理由だと言います。

危機から学ぶこともなく、
日本の弱点が補強されることもなく、
あれから10年を迎えています。

足もとには対処すべきことは山積していますが、
100年先を見てやるべきことを整理しなければなりません。

今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2021.3.8===

  
  

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