徒然日記

21年4月3日 その4971『逢坂誠二の徒然日記』(6668)

昨日、一旦帰函したのですが、
急遽昨夜、札幌入りしました。

1)三井辨雄さん
昨朝、三井辨雄さんの訃報が入りました。

少し前にも、今の菅総理のことについて、
色々とアドバイスの電話を頂き、
元気なものと思っていただけに
驚きを禁じ得ません。

三井さんとは、
同じ薬剤師仲間ということもあり、
薬剤師会の活動などを通して
本当にお世話になりました。

最大の思い出は、
北海道新幹線の札幌延伸です。

2011年3月、東日本大震災が発生した後、
札幌延伸はもう無理だとの雰囲気が漂っていました。

しかしあれ程の被害にも関わらず、
東北新幹線が予想以上に早く復旧したこともあり、
新幹線は災害に強いということが明確になったのです。

震災があったから新幹線を諦めるのではなく、
私は災害が多い国だからこそ新幹線が必要、
その確信を持つようになりました。

当時、私は、与党新幹線議連の幹事長を務め、
三井さんは、国土交通副大臣でした。

そこで二人で相談し、
政府内は三井さん、党内は私が調整することにして、
札幌延伸を決めるため動きをすることにしたのです。

最初は、羽田元総理の元を訪れ、
案件を進める報告をさせて頂きました。

羽田元総理からは、
しっかりやれとの激励を頂きました。

次は、亀井静香さんです。

四谷の事務所に出向いて応援のお願いです。

この際、驚いたのが、次の逸話です。

原子力船「むつ」が放射能漏れ事故を起こし、
佐世保港での修理をお願いした。

その際、長崎新幹線整備推進を約束する念書を
長崎県に提出している。

しかし長崎新幹線はまだできておらず、
約束が果たせていない。

もちろん北海道新幹線の応援はするが、
ぜひ長崎新幹線も進めて欲しいと、
亀井さんが言うのです。

原子力船「むつ」の佐世保港での修理開始は1978年のことです。

この古い約束もきちんと向き合おうとしている亀井さんに、
政治家としての誠実さを強く感じた瞬間です。

こんなことを行いつつ、
当時の鉄道局長とも作戦を練りながら、
具体化に向けて動き出しました。

JR北海道の坂本真元社長とも、
どんな場面で何をするかなどについて
緊密に連絡取り合いつつ進めたことも
功を奏したと思っています。

しかし懸念事項がいくつかありました。


工期を短くしたいが、
そのためには既定の財源以上のものが必要になり、
財政当局が難色を示すこと
過去に、工期が長いことが理由で
北海道新幹線の推進機運が削がれたことがあり、
工期の短縮は必須のことでした。


マスコミが反対の論を張ると、
財政当局などから否定的な意見が出ること


当時の与党内に大型公共事業に反対する方がいたこと

マスコミと与党内については、
キーマンの皆さんに説明に歩いたり、
意見交換をして理解頂く努力をしました。

問題は工期の短縮です。

これには鉄道局の皆さんにも知恵を絞って頂き、
何とか捻出できる財源があることが判明したのです。

しかしこれを最初から表に出すと
財政当局に反対される可能性があります。

そこでまず着工を勝ち取った後、
改めて工期短縮を行う方向で内々進めることにしました。

こうした対応を三井副大臣と
緊密に連絡を取り合って行ないました。

三井さんを凄いと思ったのは、
当時の野党への気配りでした。

自民党と公明党にも説明した方が良いと言うのです。

結局2度、密かに集まって頂き
経過報告をしたこともありました。

暗闇の中で、綱渡りをするような手探りの中で、

2011年12月26日に、
政府与党申し合わせで札幌までの新規着工を
決定することができました。

2012年6月に正式に延伸が認可され、
工事着工後の 2015年には、
当初の予定通り工期が短縮され2030年度の開業が決まっています。

これら経過の中で、三井さんが私に、
決まっていないことを決まったと言ったり、
説明していないことを説明したと言う場面がありました。

当時は何とも理不尽だと思ったものですが、
あの嘘がなければ決めることは難しかったのかもしれないと、
今は感じています。

嘘も方便という、
政治家のある種の巧みさを知る場面でもありました。

三井さんと、色々なやり取りをする中で、
札幌延伸が正式決定したのです。

認可したのは羽田雄一郎国土交通大臣でした。

チャンスを見計らって一気呵成に物事を進めること、
これは官僚にはできない、
まさに政治の胆力と感じたものです。

三井さんも羽田さんも鬼籍に入りましたが、
お二人から多くのことを勉強させて頂きました。

三井辨雄さんの、そして改めて羽田雄一郎さんの
ご冥福をお祈りします。

今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。

===2021.4.3===

  
  

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