昨日午前は函館、午後は東京、夜は旭川で活動して、今日は旭川での朝です。昨夜から新たな積雪はありませんが、街全体が一面の銀世界です。夜明け前の気温は氷点下8度、日中も氷点下4度の真冬日です。終日、曇りの予報です。

1）改めて安保法制
先日、安保3文書が閣議決定されました。国会の議論もなく、国民の意見も聞かず決めたことは大きな問題です。また防衛費の中身の議論もなく、予算を倍増することと増税だけは決めており、これも信じられないことです。今回の閣議決定は、日本の防衛、安全保障政策の大転換であり、丁寧な想定や議論をしなければ、後に大きな禍根を残します。
2015年に強行的に決定された安保法制に関する議事録を改めて読んでいます。読み返せば読み返すほど、雑な答弁が散見されます。限られた集団的自衛権とはどのようなものなのか、その自衛権の行使とは具体的にどのようなことなのかなど、改めて整理しなければならない矛盾した答弁もあるように思います。
2012年末の安倍政権から岸田政権の閣議決定に至るまでの議論を、賛否に関係なく落ち着いて整理し、今後に備えなければなりません。今、その作業を確実に行わなければ、将来、混乱することは必然です。
安保法制で決められた武力行使の新3要件は以下です。
1
我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2
これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3
必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

2）「あてはめ」とは
武力行使の新3 要件は、個別的自衛権に関する従来からの基本的論の中の「あてはめ」として、論理的整合は保たれている、これが政府の見解です。
ところで「あてはめ」と言われても分かり難いと思います。この点、憲法学者の木村草太さんが分かりやすく説明しています。

あるマンションの規約：猛獣を飼ってはいけません。
ア）具体的な猛獣の基準は何か：放置すれば人間を殺傷する動物
イ）その基準の事例は：ライオン
法解釈というのは、この基準を立てる作業「ア）」と具体例をその基準にあてはめる作業「イ）」があります。狭い意味での「法解釈の変更」とは、法文から導かれる「基準」自体、つまり「ア）」が変更されることを言い、「イ）」を変えることは含みません。
「放置すれば人間を殺傷する動物」という基準を変えずに、この基準に照らすと「虎」も該当し、狭い意味での解釈変更がなされたわけではないとの結論になります。これが「あてはめ」です。

自衛権に関しては、政府が言いたいのは以下のようなことだと思います。
これまでの基準：
自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置が許容される。
日本に対する「外国からの武力攻撃」は、「平和と安全」を破壊し、「自国の存立を全う」できなくする事態に含まれるので、それを排除するための武力行使は許容される、と「あてはめ」るのです。
日本への武力攻撃以外の方法で、日本への「平和と安全」を破壊し、「自国の存立を全う」できなくする事態があるならば、それを排除するための武力の行使は、論理的には可能ということなります。
日本ではなく他国への武力攻撃により日本の存立を全うできなくなる事態になる場合があるのであれば、武力行使が許容される、これが政府の言い分です。
つまり 2014年7月の閣議決定は、従来の基準に新たな事案（他国への武力攻撃によって、日本が存立を全うできなくなる事態が生ずる場合）を「あてはめ」ただけに過ぎない、これが政府の立場ですが、理論的には正しいと感じます。
しかし実際に、他国への武力攻撃によって、日本の存立が全うできない事態があるのかどうか、ここが極めて大事なポイントです。
さらに引き続きこの問題を考えて参ります。

新潟などの降雪、大変な状況になっています。被災された皆さんに心からお見舞い申し上げます。近年、雪の降り方が異常ですが、降雪時の備えを再構築しなければなりません。
さあ今日もブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2022.12.20===
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