徒然日記

「世界一厳しい基準」との言い方は安全神話/逢坂誠二 #7538

【23年8月22日 その5841『逢坂誠二の徒然日記』 #7538】 昨日昼、国会予算委の派遣で、自民党の2人の議員とともにソウル入りしました。午後には駐韓大使と韓国情勢についての意見交換、その後、韓国国会事務総長を表敬訪問し話を聞いています。夜は、日韓経済及び日韓外交の専門家から話を聞きました。日韓関係は極めて大事です。政府間だけではなく、議員外交も積極的に行なって両国の関係を深めなければなりません。また福島の処理水の放出については相当に厳しい話が出てました。徴用工問題についても同様です。(今回の訪韓、さらに明日はモンゴルに移動しますが、その報告は別途行います。)
ソウルの日の出は、函館よりも1時間ほど遅い5時53分です。空全体に雲があり、朝の気温は25度です。日中は雨、予想最高気温は29度の見込みです。
1)「世界一厳しい基準」との言い方は安全神話 過日、朝日新聞(7月8日付HP)に更田豊志・前原子力規制委員長のインタビュー記事が掲載されておりました。少し長くなりますが、それを抜粋して紹介します。
==以下、抜粋引用==
A:政府や与党議員などは規制基準について「世界一厳しい基準」という表現をよく使います。
Q:私は一度も使ったことはないし、嫌いな表現です。規制委は自分たちの基準が世界一厳しいなどと思ってはいないし、真っ当なエンジニアでそんな言葉を使う人はいないと思います。各国で置かれている状況が違うわけです。原発利用国の中で、日本は突出して大きな地震に備えなければならない。厳しい自然条件に置かれているものに対して要求が厳しくなるのは当たり前じゃないですか。規制委は、基準を満たしても「絶対安全とは申し上げていない」という立場です。『世界一厳しい』という言い方は、安全神話をつくり出そうとしているのと同じなんですよ。とにかく原子力を進めたい人が『だから事故は起きません』と言いたいための言葉だけれど、安心しきってしまうのはとても危険です。いつまで使うんだろうと思います。
A:原発の運転期間を規制委の所管法から除き、経済産業省の所管法に移す法改正が成立しました。規制委の審査などで止まっている期間を運転期間に数えないことで、60年超運転が可能になります。
Q:そもそもでいえば、原発の寿命を一律に『何年』と決めるのは科学的ではありません。40年でもへたっているものもあれば、60年経っても全然平気というものもあるので、個別に考えるべきです。ただ、停止期間を除くというのは国際的にも例がなく、変わったやり方だなと思います。そういう考慮をする必要はないだろうと思いますが、規制委の審査期間が予想外に長かったということも影響しているのでしょう。
A:今回の法改正をめぐる規制委の議論の進め方はどう見ていましたか?
Q:制度の議論が先に始まり、何をどう見るかという中身の議論がなかなか始まらなかったのが不思議でした。山中委員長は30年以降10年ごとに審査していくことを打ち出した際に『はるかに厳しくなる』とおっしゃったけれど、中身の議論をしてからでないと、厳しくなるかは分からないのではと思いました。何年おきに見るかどうかは本質ではないんですよ。さっと見るだけなら毎年見ても安全というわけではないし、細かいところまでじっくり時間をかけて見るから10年ごとよりも15年ごとのほうがいいという考え方もあるかもしれない。何をどれだけしっかり見るかを議論してから何年おきに見るか決めるべきで、順序が逆だと思いました。
A:法改正に賛成した委員からも「せかされてきた」という不満が出ました。
Q:規制委はいくらせかされても急がないというのが鉄則で、それが損なわれたかのように見えたのだとすれば、議論の進め方の順番なりに工夫の余地があったのではと思います。見られ方の意識が甘かったのかもしれません。経産省の思惑に沿って規制委が動いているという見られ方をして、規制への信頼が失われたら、電力会社の事業は進まなくなって推進側が損をするわけですよ。規制委は、しっかり技術的に見るべきものを見るのだということを、あまり上手に打ち出せなかったという気はしますね。
A:現在、審査の申請もせず、廃炉の判断もしていない原発が8基あります。これまでは運転開始から40年までに審査を終えなければ廃炉になっていましたが、新制度では存続できるようになります。
Q:制度上は寝っ転がれたとしても、決して好ましいことではありません。停止中も劣化が進むものありますし、事故への備えの意識や知識、技術を伝えることも難しくなります。規制当局として、どうするかを問い続けることが重要だと思います。
A:今回の法改正では「規制の独立性」が改めて注目されました。規制の独立性とは何でしょうか?
Q:大事なのは、規制委が事務局である原子力規制庁に対して独立していることです。在任中もずっと意識していましたが、いくら規制庁が苦労してつくったものが出てきても、規制委はダメだと思ったらいつでもちゃぶ台返しをしないといけない。緊張感は絶対に必要です。
==以上、抜粋引用終了==
更田さんは、実に冷静です。ある種巧妙とも言えるかも知れません。
*世界一厳しい基準との言い方は安全神話 *停止期間を除くのは国際的にも例がない *制度の議論が先に始まり、中身の議論が始まらなかった、順序が逆 *規制委はいくらせかされても急がないのが鉄則 *大事なのは、規制委が原子力規制庁に対して独立していること
更田さんのこの指摘を、今の山中委員長はことごとく破っています。だから私は、日本の原子力行政は、推進側に完全に取り込まれ、規制が崩壊したと考えています。これは原子力を推進したい方々にとっても不都合なことのはずです。しかし目先の利益しか目に入らない方々には、不都合だとは見えないのでしょう。本当に、困ったことです。日本では、多くの分野にこの体質が巣をくっています。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。 ===2023.8.22===
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