徒然日記
10月10日 その1892『逢坂誠二の徒然日記』
都内は青空の中に、
多少、雲の浮かぶ朝を迎えた。
天気は下り坂で、
午後には雨が降る可能性も高まるようだ。
気温は最低が16度、
最高が23度程度と見込まれている。
1)安全とは
原子力発電所について、
最大限の安全を求めるとの声が多い。
特に専門家による、
高度な判断に基づいて安全を判断すべきとの声だ。
安全という概念は、実は難しいものだと、私は思っている。
安全とは一体何なのか、よく考えてみる必要がある。
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第一は、
原子力発電所という発電工場、
そのものの安全が確保されていなければならない。
その観点は幾つかあろう。
例えば次の諸点だ。
・
原子炉の強度など工場本体の安全
・
ミスのない運転など工場操作上での安全
・
燃料輸送や使用済核燃料搬出など
工場と工場外のやり取りの安全
・
津波、地震、隕石など自然天変地異に対する安全
・
航空機の墜落、テロなど社会的危機に対する安全
・
発電工場の操作や警備を行う人的面での安全
以上などが、発電工場そのもの安全面で、
ざっと思い付くことだ。
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物事は、どんなに安全策を講じても
100%事故が起きない保証はない。
今回の福島第一原発事故で、
そのことは明らかになっている。
そこで安全の第二のポイントとして、
万が一事故が発生した場合の安全を
どう確保するかが重要になる。
その主なポイントは次が考えられる。
・
非常用電源確保、原子炉爆発回避策、
外部放出放射線量低減対策、作業人員確保対策、
事故対応指示ができる場所の確保など
発電工場そのものの危機管理対策
・
住民への広報伝達、円滑な避難ができるかなど、
原発事故の及ぶ範囲の住民の安全確保対策
どんなに発電工場に安全策が講じられていたとしても、
万が一の事故は避けれらないため、
この第二の安全に関し十分な対応ができなければ
安全が確保されたとは言えない。
たとえば事故の及ぶ範囲内の人口が50万人だとした場合、
50万人が円滑に避難できる手立てがなければ、
安全が確保されたとは言えない。
避難するすべがなければ、
それは安全な原発ではないことになる。
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第三のポイントは、
事故後の補償対策だ。
今回の事故を見ても分かる通り、
事故後の補償に対する事前対策は、
全く不十分だった。
事故が発生してから、どんな手順で、どんな資金によって、
補償を行うのかを話し合って、
その内容を決めながら補償を行っている。
これでは安心できる原子力とは言えない。
補償対策があっても事故が発生すれば、
社会は大きな損害を被る。
事故が発生しないことが最も望ましいことだが、
補償対策がなければ、その不安は計り知れない。
補償対策が予め講じられていることが、
安全の一つの要素になるだろう。
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第四のポイントは、
特に原子力事故固有のことになる。
原子力事故を伴わない火災や地震による大地への被害は、
地形の形が変化するなどのことがあった場合でも、
人間が利用したり、再度、立ち入ったりすることが、
いずれは可能になる。
放射能漏れを伴う原子力災害の場合、
火災や地震などと違って、
人間の人生の時間軸を超えた相当な長期に渡り、
大地への被害が及ぶ。
それは相当先の未来の世代にまで及ぶことが多い。
これらをはじめとして、
原子力災害は、一たび暴走し出すと、
一世代の人間の手ではどうにもならない、
未来の世代への負の遺産を残すことになる。
使用済み核燃料や廃炉処理は、
事故が発生しなくても未来への負の遺産である上、
万が一の事故の際は、
この負の遺産が大きくなるのだ。
原子力の場合、こうした点も含めて、
純粋科学技術論だけでは割り切れない、
世代を超えた倫理的問題が存在する。
これは安全の問題とは別の範疇の課題との指摘があると思う。
確かにそうかもしれない。
であるならば、
私たちの社会における原子力発電の妥当性は、
安全だけでは判断できないともいえる。
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さらに、
電力需要や今後のエネルギーの確保見通し等も、
原子力の妥当性を考える上で考慮せねばならないことだ。
朝のひと時、
原子力に対する安全という概念をちょっと考えてみたが、
これほどの論点のある大ごとなのだ。
耳に聞こえの良い、
専門家による安全判断には、
極めて多面的な要素があることを知らねばならない。
今朝の私の論点以上にも、
様々なことが潜んでいるのだと思うし、
さらに知恵を絞る必要がある。
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2012・10・10 Seiji Ohsaka
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私は、ニセコ町在住の主婦です。
原子力発電については、マスコミでしかわかりませんが、今現在、水力・火力発電では、不足という事ですから、一方的に反対では、生活に支障があります。これから、冬の生活が心配です。又、病院・老人施設等とても心配してます。
今は、原子力発電を反対するのではなく、地震等の自然災害時の対処法を考えて、泊発電の稼働をお願いします。