徒然日記
2月19日 その2008『逢坂誠二の徒然日記』
ニセコは静かに雪の降る朝を迎えた。
静かに降っているが、
確実に雪は積もっている。
朝の気温はマイナス7度程度。
日中もマイナス3度。
終日、乾いた雪の降る天候の見込みだ。
1)規模拡大とやる気
政府の「産業競争力会議」で
農業改革の議論が始まっている。
ここでもまたTPPに絡めて
農業が議論されているようだ。
TPP参加可否を農業に矮小化する、
TPPの本質を見ていない危うい議論だ。
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この会議で、農林水産が、
農地の貸し借りをスムーズにして、
競争力をつけようとする農家に
農地を集めやすくする以下のような
新制度の検討を表明している。
・
農地の貸し借りの仲介をしている各都道府県の
「農業公社」の機能を強化
・
公社に耕作放棄地などを貸し出せば、
税金で農地や用排水路を優先的に整備してもらえ、
貸すことが得になるような仕組みにする
・
農業公社自身も農産物を作れるようにし、
地域の担い手の代わりにする
・
農業経営基盤強化促進法を改正
・
耕作放棄地を簡単な手続きで利用できるよう、
農地法の改正も検討
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こうした検討案について、
「整備済みの農地をやる気のある農家に貸すので、
借り手にもメリットがある」と評価する報道もある。
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農業の競争力をつける、
農産物生産コストを下げる、
土地を集約化し規模を拡大する…、
これらの言葉が、いつも語られて、
日本の戸当たりの農地面積は拡大してきた。
(以下は、昭和40年と平成22年の戸別耕地面積)
・全国(約2倍)
約0.9ヘクタール → 約2ヘクタール
・北海道(約5倍)
約4ヘクタール → 約22ヘクタール
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規模を拡大すれば、
現在の日本の農業が抱えている課題が
解決するのだろうか。
私は、もう少し丁寧な議論が必要だと考えている。
規模が大きいとされる北海道の農業も、
規模については相当なバラつきがあると同時に、
地域毎にも農業の様相が違っている。
大野平野と十勝平野の農業は、
同じ北海道でも全く質が違っている。
大野平野の農業は、
少ない面積で高い収益性を上げている。
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面積を拡大すれば、
当然だが、農業機械の大型化など、
事業規模が飛躍的に高まる。
農業には、気候と市場、為替、
この三つの変動リスクがある。
事業規模が拡大すれば、
これらのリスク幅の絶対値は大きくなる。
このリスクに耐えられる規模とは、
どの程度のものなのか、
この辺りを慎重に考えなければならない。
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農業で良く引き合いに出される言葉に
「やる気」がある。
大規模なら「やる気」があって、
小規模なら「やる気」が無いのか。
これもきっと違っている。
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農地の集約化と規模の拡大は、
日本の農業を考える際に重要な視点であることは事実だが、
拡大一辺倒では日本の農業は成り立たない。
もっと地域に着目した、丁寧な議論が必要だ。
東京での机上に議論だけに左右されてはならない。
現場から、あるべき農業の姿を発信する努力を
怠ってはならない。
農業は、地球や国土、地域、人の命や心を守る、
様々な役割を担っている。
農業は、単に米や野菜を生産する企業ではないのだ。
さあ今日も、しっかりと前進します。
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2013・2・19 Seiji Ohsaka
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御意。